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カテゴリー: wine

中国ワインの最前線を日本語で伝える専門メディアDrinkChina!!のワイン記事一覧。張裕(チャンユー)・長城ワインなど大手から、小屋発酵所・楽為(ルーウェイ)・Gloriville・詩百篇など注目ワイナリーまで幅広くカバー。中国ナチュラルワインの動向、RAW WINEなど国際イベントレポート、四川料理・中国料理とのペアリング実践まで、産地を超えて深く掘り下げます。

  • 【海外ニュース解説】TonAri——「Voisine」の跡地に生まれた、気負わないフレンチ×チャイニーズワインビストロ

    【海外ニュース解説】TonAri——「Voisine」の跡地に生まれた、気負わないフレンチ×チャイニーズワインビストロ

    出典:Nomfluence(Rachel Gouk)|2026年7月16日

    ▼ポイント(編集部まとめ)

    呉江路の一角に、3月に閉店したフレンチレストラン「Voisine」のチームがそのまま移り、新店「TonAri」(日本語の「隣」から命名)をオープン

    共同創業者はZita Hu。上海のワインインポーターであり、以前からナチュラル・オーガニックワインへの愛着を公言してきた人物

    Zita自身、ナチュラルワイン市場の縮小を認めつつ、それでも「気取らない場所」としてTonAriでこの文化を灯し続けたいと語る

    アーチ状の入口が連なる、洞窟のように小さく暖かみのある空間。ボトルに直接値段を書き込んだワインラックが目印

    料理はフレンチ×チャイニーズにスペインなどを織り交ぜた構成。グラス69元〜、ボトル329元〜、60ml×3種のフライトも129元で用意

    記者イチ推しは、油条にドリアンとモッツァレラを乗せて焼いた「Cheese × Durian × Shanghai Baguette」(58元)

    ▼DrinkChina!!コメント

    このZita Huは、DrinkChain!!既報の「SOiF閉店」記事の著者その人でもある。ナチュラルワインの熱狂が終わったと自ら書いた同じ月に、当人は新しい店を開けている。

    矛盾ではない。むしろ筋が通っている。あの記事が言っていたのは「記号としてのナチュラル」の終わりであって、「飲み物としてのナチュラル」の終わりではなかった。TonAriが「精巧である前に、親しみやすくある」ことを選んだのは、まさにその区別を体現する動きに見える。

    ナチュラルもオーガニックも置くが、それを売りにしない。伝統的なボトルも並べる。中身より姿勢が先に立っていた時代への、静かな訂正のようなものだ。

  • 【海外ニュース解説】上海の看板ナチュラルワインバー「SOiF」閉店——中国ナチュラルワインは終わったのか

    【海外ニュース解説】上海の看板ナチュラルワインバー「SOiF」閉店——中国ナチュラルワインは終わったのか

    出典:Nomfluence(Zita Hu/待酒师画报、翻訳:Rachel Gouk)|2026年7月17日

    https://nomfluence.com

    ▼ポイント(編集部まとめ)

    上海のナチュラルワインシーンを牽引してきたビストロ「SOiF」が2026年6月末に閉店

    2017年のVinism開業を起点とする中国ナチュラルワインブームは、パンデミック期に急失速。上海ではVinism売却、Ambra閉店、RACはコーヒー大手M Standへ売却

    一方、世界のナチュラルワイン市場はCAGR9.0%で成長中(2025年28億ドル→2034年61億ドル予測)。中国の低迷はアジア太平洋の数字を押し下げる例外的存在

    筆者Zita Huの見立て:中国の失速は資本とSNSが作った「装置としてのナチュラル」が剥がれ落ちただけ。方法論を飛ばして記号だけを消費した結果

    中国のZ世代・Y世代では「本当に理解し、味わい、好きなものだけを買う」層が増加。ナチュラルワインは今、対抗文化ではなくワインの一選択肢へと着地しつつある

    ▼DrinkChina!!コメント

    「ナチュラルが手法から象徴へ、選択から立場へ変わった時点で、長続きしない」——この一文がすべてを言い当てている。

    中国で起きたのは、テロワールの理解が先に来るはずの順番が逆転したことだ。海外では何十年もかけて「低介入・透明性・持続可能性」への理解が育ち、その先にナチュラルワインが自然な帰結として現れた。中国ではその過程を飛ばし、ラベルとポーズだけが先に流通した。

    これは「飲養一体」の視点から見ても示唆的だ。ナチュラルワインが本来問うているのは、何が入っているか、どう作られたかという誠実さの話であって、映えるかどうかではない。SOiFの閉店は終わりではなく、記号としての熱狂が退場し、飲む理由が問い直されている過程に見える。

  • #042.【海外ニュース解説】アリババ傘下の中国第2位スーパーが「独立系中国ワイン」に賭けた——500店舗展開、職人ワインが主流流通へ

    #042.【海外ニュース解説】アリババ傘下の中国第2位スーパーが「独立系中国ワイン」に賭けた——500店舗展開、職人ワインが主流流通へ

    出典:Vino Joy News|Morris Cai|2026年6月30日
    https://vino-joy.com/2026/06/30/chinas-second-largest-retailer-bets-on-independent-chinese-wines/


    ▼ポイント(編集部まとめ)

    • アリババ傘下・中国第2位の小売チェーン「盒馬(フレッシュポ、Freshippo)」が、独立系中国人ワインメーカーとのコラボレーション「Tracing Terroir(産地を辿る)」プロジェクトを開始。全国最大500店舗への展開を予定
    • ラインナップは2本:寧夏マルスラン赤(128元=約2,600円)と山東・蓬莱プティ・マンサン白(228元=約4,600円)。いずれも独立系醸造家・馬傑(Ma Jie)と侯錦裕(Hou Jinyu)との共同開発
    • 初回生産は寧夏マルスランが約8,000本、蓬莱プティ・マンサンは北京・上海限定で1,000本のみ
    • フレッシュポのワイン・スピリッツバイヤー:「棚に中国ワインを並べるだけではなく、テロワールと文化を伝えたい」「独立系醸造家はノマドのようだ——どこにいても自分の醸造哲学を貫く」
    • 北京農業大学醸造学科長・李徳美教授(元Decanter「世界で最も影響力ある50人」選出):「中国は大陸性気候のテロワール研究で、世界のワイン理論に新たな視点をもたらせる」

    ▼DrinkChina!!コメント

    このシリーズで追ってきた流れが、ここで一つの形になった。

    DWWAとWSCWAで品質が証明され、トランプ晩餐会で需要が爆発し、若い消費者が「感覚で」ワインを選び始め——その先に来たのが、中国第2位の小売チェーンによる「独立系ワイン」の棚入れだ。品質の証明が流通を動かした、という構造がクリアに見える。

    特筆すべきは、フレッシュポが大手ワイナリーではなく「比較的無名の独立系生産者」を意図的に選んだ点だ。「棚に置くだけでは意味がない」という姿勢は、ワインを商品としてではなく文化として扱おうとする意思表示でもある。

    馬傑と侯錦裕という2人の選択も面白い。馬傑は寧夏から雲南・チベット・四川・新疆まで複数産地で醸造する「遊牧型」の醸造家。侯錦裕はワイン教育者出身で、甘口が主流のプティ・マンサンをあえて辛口で仕上げた——どちらも「普通の選択」をしていない。

    DrinkChina!!が追っている「飲養一体」の文脈でいえば、独立系醸造家はその体現者だ。産地・品種・哲学が一致した地点から生まれるワインは、スペックではなく物語として語れる。フレッシュポはその物語を主流流通の棚に乗せようとしている。

    蓬莱の辛口プティ・マンサン——アメシヤードの甘口プティ・マンサンと同じ品種が、異なる産地・スタイルで登場していることも、このシリーズを通じて読むと面白い。